幽玄怪舎 依藤幸夢店

創作者依藤(えとう)の地道に感じた事や身の回りに起きたことを綴るゆったりしたブログ

スロット「わたしのアイドル」引いたのでショートストーリー

お題「わたしのアイドル」

なんとなく回したお題スロット、連打して書けそうだなって思ったのがこれだったので、これで一本書こうと思います。

 

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スーパー台風19号襲来に対して避難した際の自分なりの所感

スーパー台風19号えげつなかったなぁって思いつつ、過去時間にずらして投稿です。

この記事が書けてるのも、バレットジャーナルのお陰なのかな

 

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依藤セナの休日(無償公開)

 朝、目が覚めると、何時もの天井が見える。という訳でもなく、コバルトブルーのサラサラとした生地が目に着く。軽く首を動かしテントの中を見回す。中は二人寝転ぶのがやっとの広さ。設営時に詰め込んだ荷物は無事なようだ。起き上がり、寝袋から片手を放り出してテントの前室へのジッパーを下ろす。ぼーっとする頭を動かすためにカセットガスバーナーを点火し、珈琲を淹れる為の準備をする。

荷物の中から携帯と手帳を取り出し、今日の予定が何だったかを確認すると自身の姉と会う予定になっていた。手早く珈琲を飲み干してテントを片付けて愛車のカブの荷台にいつもの手順で積んでいく。

軽く引っ張ったりしてゆるんだりしないことを確認して、ここから姉の居る会社までのルートを頭に浮かべる。

そろそろメンテナンス作業しないとなぁと思いながら会社までの道のりを走り始めた。暫く走って、コンビニで休憩をしていた時に妹から電話が来た。

 率直に用件を聞きだすと、姉がよからぬ事を考えているという話だった。何を考えてるかは、当の本人に聞きだすしかないとのことで、なおの事行きたくなくなってしまう。

 そんな気がした。

 そんな妹とのやり取りを終え、また会社に向かってカブを走らせる。暫く走って、やっとこさ会社の地下駐車場まで来た。自身専用となっているバイク置き場にカブを止め、うちにいるバレーサービス(車両を預かり駐車してくれる人の事)に珈琲を差し入れして、エレベーターホールへ行く。そこには妹が待っていた。

「やぁ、咲夢。して姉貴は何を考えてる?」

「おはよう、久しぶりだね。戀姉に関してはわからないなぁ……でも、なんかこの前セナ姉に部下を付けるとか言っていたよ。」

「は?」

 役員名簿に名前が載っているだけで、実際ほぼ仕事していない僕に部下を持たせたところでどうするんだろう。まぁ、それは姉貴がなんか考えているだろう。そんなことを思いながら、エレベーターが来たから役員会議室のある階まで移動する。部屋の中で待っていると、ハイライトの消えたオッドアイの猫のぬいぐるみが置いてあることに気づいた。

「咲夢、ねえこれってさ」

「ああ、戀姉の趣味ですよ。なんでも副社長から贈られたオーダーメイド品だとか」

「ほー、まぁいいや、姉貴はまだなのかい?」

「もうそろそろ来ると思うけどなぁ」

 そうこうしているうちに、会議室のドアが開き。紺色の艶髪をのぞかせた。

「いやぁ、セナは元気だったかい? 遅れて申し訳ないね。反対意見つぶすのに手間取ってね。いやぁ、参ったよ」

「反対意見? 何を今度は押し通したんだ姉貴は」

「君に部下を持たせる話をちょっとね」

「本当に僕に部下を持たせる気かい? 名前だけの役員だぞ?」

「そこはほら新設部署として、ね?」

「『ね?』じゃないよ……」

 咲夢から聞いていたとはいえ、本気だったとは思いもしなかった。この時期に辞令出すのは酷だと思うんだけどな……。

「戀姉、セナ姉に一体誰を付けるつもりなんだ?」

「LCBの二人にしようと思ってる。アイドルの扱いは元アイドルにしてもらおうかなってね」

「LCB?何それ」

「セナ姉……テレビ見なさすぎだよ。覚えてる?うちの入社式、セナ姉の時以来の報道入れたの」

「あぁ、今年のやつ? あ、あの二人?」

「そうそう、あの二人だよ」

「なるほどねえ。で、いつから僕が面倒見るの?」

「今日からだよセナ」

「はい? 今日からだって?」

 反対意見押し切って即日で辞令出すってのは流石に阿呆だと思うんだけど。確かに一般部署だと現役アイドルの扱いに困るのはわかるよ。僕もその口で名前だけの役員だし。でもそれとこれとは話が別だと思うんだがなぁ……。

 姉貴にさせられたアイドル。高校入学を機にアイドル活動ほぼ無期限休止という形をとり、高校卒業と共に、この会社の名前だけ役員になったけど、今更後輩アイドルの面倒見る事になるとはねぇ。

「で、セナちゃんに異論はあるかい?」

「姉貴が僕の名前をちゃん付けする時は異論認めないでしょ。いいよ、面倒みる」

「ありがとう。良かった。これから来るからね。咲夢、呼んで」

「はいはい。じゃあ連絡してくるね」

 

 現役アイドル二人を面倒見るって言ったって何させればいいんだろうか……。どうせなら、『アイドル』の看板使えたら面白い事できそうだけど、流石に姉貴が許さないかな

 

 

部屋にノックの音が響き咲夢が入室許可を出す。

「失礼します。依藤社長に呼ばれてきましたが何用でしょうか?」

「二人ともよく来たね。じゃあちょっと座って。このくすんだ金髪頭が僕の妹のセナ。二人なら知ってるでしょ? セナ、こっちの二人茶髪が桜井紅葉、青色がかった緑髪が葉月莉桜。二人には後日正式な辞令下るけど、今日付けでセナの下に入ってもらうから、業務は特に僕からしてほしい事はないかな。あ、でも、セナと一緒に旅番組してもらうかな?」

「あの、依藤社長、セナさんって一般の人ですよね?」

「今はね。昔はすごかったんだよ。CD出せばミリオン当然だったし」

「おい、姉貴、過去の栄光はいいから僕の事ちゃんと説明しなよ」

「まぁそれもそうか。 二人は小学生頃の話かな? くすんだ金髪、きれいな青目ってテレビで見たことないかな?」

「へ? あのセナですか? 本当に?」

「まぁね」軽い感じで僕がそう答えると声が出ない位驚いたようだった。

 一世を風靡した過去のアイドルが歴史だけはある変な会社で姉貴が社長になった途端右肩上がりに成長を遂げた役員会議室に居るって中々変な状況だよな、と自分でも思う。

 ゆっくりと紫煙を吐きながらちらりと紅葉達の反応を見る。手で口を隠して驚愕した顔でこちらを見る二人を見て不意に笑いそうになった。

「それで? 結局僕はこの二人にどういう教育すればいいんだい?」

 僕の部下になるといっても、僕は普段から会社に来ず、日本に留まらず世界を走り回る放浪人だ。僕についてくるとなると結構過酷かもしれないし、どうしようかな。

「どうしよっか、セナについて回って見分広めるってのもいいかもね」

「一応この二人は現役アイドルでしょう? そんな危険な目に合わせるのかい?」

「セナ姉も元とはいえアイドルじゃないか、変わらないよ。それにうちのケーブル放送で番組にしてしまえば安全性は無視できるよ?」

 確かに、うちの会社はネジ一本からなんでもっていう形が売りの会社だけど、ケーブルテレビを持ってるなんて聞いてない。またどっかから買収でもしたのかな?

「僕はいいけど、二人はどうするの? そもそもアレかい? 僕が電撃復帰という体にするのかい?」

「そうだねー。そうするのが一番かな?」

 僕の復活で何が起きるか、割と楽しみだけど。僕の生活が脅かされなければいいな。まぁそれはそれとして、二人と行動、しかもケーブルテレビのクルー付きでか、どうしようかね。

 

 

SLCB始動!?

 

 

 どうしようか悩んでたら、姉貴が勝手に決めたようで。あれよあれよという間に初回撮影日が決まった。僕は普通にキャンプ生活からの合流、二人が撮影クルーを引き連れてキャンプ場へ来る。という形になったらしい。僕はとりあえず全員来るまで撮影されない、ということなので普段通り、起床して、荷物が無事かどうか確認してから珈琲淹れて朝ごはんを作ってる。昨夜作った取っ手のついたフライパンでソーセージと目玉焼きを作りながら『いつ来るのかな』なんて考えてたら静かなキャンプ場に乗り物のエンジン音が聞こえてきた。僕のカブの隣に二台のカブがそろって止まった。黄色のリトルカブと、水色のリトルカブ。ヘルメットもそれぞれのカブの色に合うような感じの色合いになってる。

「お待たせしました。セナさんは朝ごはんですか?」

「いらっしゃい、っていうのもおかしいかな。そう、朝ごはんだよ。二人は朝ごはん食べてきたの?」

「いえ、朝から宣材写真の更新があったので……」

「スケジュール大変でしょ? しかもこれからこれで撮影するから何日かこれに拘束されるし」

「そうなんですよね。でもまぁセナさんと一緒に出演できて、当時の話を聞けるのなら、それはそれでいいかなと思いまして」

「そっか、ならいいんだけどさ」

 

 撮影の話の流れとしては簡単だった。莉桜達がしゃべり、僕が特別出演として出る。後はアドリブだ。

 

「やぁやぁみんな!LeafCherryBlossmsの私たちの時間だよ!」

「毎度ながらいろんな番組で同じ挨拶を使うのはどうかと思うぞ、莉桜」

「いいじゃない、というかこの番組だと今日が最初で最後のこの挨拶だし!」

「おや? それは一体どういうことだい?」

「今日はなんと特別ゲストが来ています!」

「新番組で今日もなにもないけどね? まぁ、一体誰なんだ?」

「あの、高校入学を機に電撃引退したセナさんです!」

「やぁ、約6年ぶりのテレビの収録で若干緊張気味のセナだよ」

「ということでセナさんが今回特別に来てくれました」

「私たちの憧れの方ですね。今日はよろしくお願いします」

 

 そんな感じで撮影は無事スタートした。

SLCB~CampRing~」

「タイトルでわかるかな? セナさんと一緒にキャンプしたり、ツーリングする番組です!」

「おぉ~」

「おぉーって莉桜。わかってる? セナさんだよ?」

「わかってるよー!」

「まぁ、僕としては紅葉より莉桜の反応の方が気楽でいいんだけどね」

「ほー、で、今日は何するんですか?」

「えっとね、まずは二人に練習としてテントを張ってもらいます。そのあとに買い物行って、僕がご飯を作るみたいだね」
 二人に今日一日の流れを説明していたら、カメラの向こうでスタッフがOKを出してた。気づいてない二人に軽く頷き、とれ高(放送で使えそうな映像素材)取れた事を教える。無事気づいた様で三人でカメラに目線を送ると示し合わせたようにスタッフからカットの声がかかる。スタッフが近寄ってきて、僕らにお茶を渡すけども、僕は先ほど入れた珈琲があるからとそれを断り自分だけシェラカップ(キャンプグッズの一つ)に珈琲を注ぐ。のんびりと飲み始めたら、またスタッフが慌て始めた。今度は何だ? スタッフを観察しつつ、莉桜達と談笑をする。

 先程の休憩時間に起きたスタッフ慌てぶりが嘘のように順調に進んだ撮影も終盤。今日のキャンプ地は合流地点だった場所だ。晩御飯は莉桜達が希望した、カレーと焼きマシュマロだ。莉桜達いわく、何やらアイドル活動の一環でマシュマロを焼いてる姿をインターネットに上げたい……らしい。で、メインがカレーなのは姉貴から僕の作るカレーがすごいおいしいからって聞いてたから、食べてみたいんだと。

 僕のテントのすぐ近くにテントを張る二人を横目に調理をしていく。この姿すらスタッフが撮影している。テントを張り終わった二人がこっちに戻ってきた。

「お疲れ、ちゃんとテント張れたね。ほら、珈琲でも飲むかい?」

「ありがとうございます。あ、いただきますね」

「テント、一回事務所で張る練習したからできたー!」

「さて、今日最後にお知らせがあります。セナさんがなんと

「この度この番組を足掛かりに復帰することになりました」

 ハイカットー! なんてアシスタントディレクターの声を皮切りにスタッフ一同が騒がしく撮影機材をまとめ始めたのを横目に僕はスタッフに配る珈琲を入れ、現場の偉い人から配り始めた。がやがやと撤収する姿を見るのは久々だ。またこの業界に戻ってくるとは全く考えてなかったな。

「セナさん! 早く食べましょうよ! それと昔の話聞かせてください!」

「あぁ、いいよ。そこにご飯炊いてあるから自分で食べる分よそってね。お代わりの分も作ってあるからいっぱい食べてね」

明日からも頑張ろうね。二人とも。

(了)

 

ワンライお題「返信待ち」

 ある日、唯から依頼のメールが届いて、その通りに動いて見て、写真を撮って送る僕。

 時折起きる依頼のメール、そして条件には必ず位置情報を付けてくれとある。奇妙な事に、時間だけはずらされて別の端末に送られてきてそれをSNSにアップロードしろとまで言われるまでが依頼だ。

――唯に電話して、依頼の内容を確認したいけれども、時間が限りなくずらされても可笑しくない時間で写真を撮れとまで指令が飛んでくる依頼に対して説明を求めるのも、僕がなにか犯罪に関わる事じゃなければ”なんでもする”と言ったのが間違いだったのか、未だにわからないけれども、確かにそれは起きている依頼であって、完遂のメールを送ったにもかかわらず、未だ帰ってこない返信を待ち続けるのも疲れ、少しばかり自由に走り出した頃、ようやく返信待ちをしていた唯からの「依頼完了確認」のメールを見て、晶(あきら)に対して「唯は一体何をしているんだ」と問い詰めるメールを送ってしまったのは僕の間違いだったのだろうか……。と自問自答を繰り返してみても帰ってくる事の無い返信を待ちながら僕は珍しくYZFを引っ張り出してきてメンテが必要かどうか見極めるために走り出す。

 

――暫く(しばらく)してから晶からの返信が来て、「唯はセナを守っているんだよ」の一言しか書いていなくて、僕は甚だ僕の聞きたい事とズレいているでは無いかと憤慨しそうになりながら、とりあえず晶に対して返答をしなくてはなんて考えてみても、文面を考えつかず、これでは晶が返信待ちするではないか、なんて言葉遊びを行いながらもYZFのメンテ項目をその場に有った適当な紙に書き出していき結局今日も僕はカブを弄り始めてしまう。頭でナニカを考えている時は僕の身体や思考でのカブの単純さは気楽に弄り回せる玩具の様に感じているんだろうな、などと巫山戯た思考回路をどうにかしないとね……。

 

――自問自答と自問他答をしてみても、結論的に唯が僕の何を守っているかなんて分かるはずもなく時間だけが過ぎていく……。

 

――僕が犯罪に巻き込まれないようにミスリードとして、位置情報だけ一致させて、時間をズラして投稿させた端末は唯が持つ技術によって生み出されたダミーのSIMを認識している端末でわざとズラした時間情報を元に僕に着いていたストーカーが騙されて全員捕まった話は後日唯の店に行き、久々のテストメニューを僕の口で試されていた時にいきなり告げられた言葉だった。

ワンライお題「誕生日」

「明日は咲夢(さくら)の大切な日」

 そう行って僕の目の前から姉貴は姿を消した。けれどもやはり、僕には見つかるかのごとく行く先々で同じ物を手に取っている姿を見る。

 少しばかり前に謎の奇縁で拾ったお狐様は油揚げを用意しろと僕の服を咥え、同じタイミングで着いてきたお猫様は僕に猫缶を用意しろと猫パンチを繰り出してくる。

 不思議と不快ではなく、『用意してあげよう』という気持ちにさせてくる。

 何の気負いもなく、多分喜んでくれるだろうなと咲夢へのプレゼントを用意して、僕は姉貴を探す事にし、旧曽祖父宅である現僕の家となっていてなおかつウチの会社の本社となっているあのいつか何処かで見た風景の様な街に戻ってきた。

 僕がこの街に戻ってくる事などそう多くない、現住所がここに在るのはいわゆる日本の法律で現住所を定めなくては身分証が持てないからであって、僕に住所というものは必要ないと考えているから、戻ってくる事がそう多くないだけであって、この街が嫌いだとかそういった事は一切無いと考えている。

 だけども姉貴からは『この街が嫌いだから寄り付かない』と思われているらしく、何かにかこつけて僕をこの街に呼び戻そうとする。

「あぁ、やはり姉貴はバカだなぁ」

「ありゃ、やっぱり僕が此処に居るとバレてしまうかい?」

「勿論だとも、末っ子を一番可愛がっていた曽祖父の墓に誕生日プレゼントを聞きに行かない姉が何処に居ると思う?」

「キミは来ないと思ったんだがな……」

「そういうわけでもないし、別にこの街が特段嫌いというわけでもないよ」

 ただ単にこの街に寄りつくと曽祖父と可愛がられていた咲夢の事を思い出すからあまり近づかないだけ。という言葉は胸の奥に仕舞い込んでしまえとばかりに答えを返す僕は余りにも子供すぎる気がする。

「穏やかな顔をして咲夢の”偶然”居ないタイミングを見計らうかの如く亡くなった曽祖父を想うと、曽祖父に対して咲夢にあげたいものを聞くべきかなと思って僕は来たんだけど、セナは一体どうして此処に?」

「姉貴、僕に咲夢を押し付けて最期を看取ったんだ、僕に咲夢にあげたい物を聞く権利は僕にしか無いんじゃないかな?」

「……その言葉を言われると、僕は何も言えないじゃないか」

――戀姉! セナ姉! 此処に居たんですか!

「おや、咲夢に見つかりそうだね。僕らも此処から離れようか」

「そうだね、あの子がショックの余り忘れてしまいそうになっている曽祖父の墓の位置をバラす訳にはいかないからね」