幽玄怪舎 依藤幸夢店

創作者依藤(えとう)の地道に感じた事や身の回りに起きたことを綴るゆったりしたブログ

スロット「わたしのアイドル」引いたのでショートストーリー

お題「わたしのアイドル」

なんとなく回したお題スロット、連打して書けそうだなって思ったのがこれだったので、これで一本書こうと思います。

 

 

 僕は中学生の頃、アイドルをしていた。そして中学卒業を機会にアイドル活動を休止した。緩やかに、そして流されるようにアイドルとして活動していた僕は、自我として高校生活を自分の意思で選んで生きたいと思いアイドルを辞めた。

 それでもうちの会社にはずっと僕宛のファンレターが届く様な日々で、復活しようかな。とか少し思った事も無きにしもあらず。こんな思考をしているのは、Leaf Cherry Blossomの二人に引きづられる形で、アイドル活動に復帰する事になったから、なのかもしれない。

 意地が悪い姉貴を持つからか、流されるように再びアイドル活動を行う事になり、少しばかりの後悔と、高校生活中ずっとファンレターを贈り続けてくれたファンの皆に『今の僕』を見せてあげれるというちょっとした「僕の存在がプレゼント」というワードを思いついたかもしれない。

 ある日、晶と付き合っている事を公表した時、初めてアンチなファンレターを貰った。

『貴方誰ですか? 私のアイドル、私だけのアイドルである晶君を返してください』とだけ綴った。簡単な一筆箋だった。

 すごい綺麗な字で書いてあったから「あぁ、晶はこんな女の子のアイドルになってるんだな」と思ったし、ちょっと僕の存在を知らない事にカチンと来たっけな。

 僕らは確かにアイドルだけど、偶像崇拝されてる教祖でもなんでも無い、何処にでも居る人間のちょっと運が良かっただけの人でしか無い。

 人形のように晶は扱われてる事を僕は晶にとてもじゃないけど言えなかった。ただ、一言、「僕らが付き合ってる事公表しなかったほうが良かったのかな?」なんて戯言を言ってみた事はある。

 凄い必死に否定してくれて、僕を抱きしめてくれた晶の存在は僕からすれば暖かい存在だけども、カメラやテレビ、はたまた握手会で僕らを人間として見てない、単純に神聖視をしているファンの子達も一定数居るのは確かだけど、僕に対して一筆箋でアンチな一言を送ってきた子は僕の存在を知って僕のファンになってくれたみたいだし、少しばかり、偶像崇拝とアイドルを推すという事の差をわかってくれたら嬉しいな、なんて戯言ばかり言うからか、晶のファンから届く僕宛のアンチレターの数はどんどん増えていくけれど、何故か僕と晶が合同でやる握手会には事件のじの字もない、平和な状態が続いてる。

 意地汚いだけなのかもしれない、僕が晶に伝えることがないと分かっているから、逆に握手会とかで問題を起こさないだけかもしれない、ただ単に、手紙としては綴って送る勇気は在るけれど、事件を起こす勇気がないだけかもしれない。

 たらればな話だけれど、ゆっくりと僕と晶は前に進んでいるんだから、僕のアンチも減ればいいのにな、なんて思って僕はこの日記を綴る。