僕の書くファンタジーは?と言われてタブマギで書いてみる。
ちょろっとした発想で人にお題貰ってSSを書こうとしたら、依藤さんの思うファンタジー小説を書いてみて!と言われたので書いてみようと思います。
(タブマギで)
唯に呼び出されて、渡された腕時計を手首に付けたら謎のチクリとした痛みとともに『所有者として認証しました』のボイスが部屋に響いた。
「唯、これは?」
「ん? あぁ、電書魔術を使うためのデバイスの一種と思ってくれればいいよ」
「今までSIMだけだったり、ePUGインストールするだけでよかったじゃん」
「この前、衛星ハックしたの覚えてる?」
「あぁ、やらかしたやつか、覚えてるよ」
「その関連でちょっとね。セナを護る為の手段として一つ専用デバイスをデザインして作ったんだ」
「は? 相変わらずよくわからない事をしてるな、唯は」
「いつもどおりでしょ?」
「まぁ、違いない」
この子は電書魔術を書く人間でもあり現役のハッカーとして生きてる。OSSにも貢献してる謎の少女Y.U.Iとして活動してる。
事実的には実名を名乗っているんだが、何故か足取りが掴めなくて公安から逃げ遂せる事がしばしばある。
僕だけは命を掛けて護ろうとしてくる謎の少女。理由を聞いても教えてくれないけれど、僕の恋人曰く、『セナがテレビの向こうで活躍していた時のファンで、携わる事があれば絶対何が何でも護ってみせる。そのために色々な技術を今から私は身につける』との事。
いつも僕の前だとにこやかに過ごす唯だけど、そういう背景があるなんて僕に一切見せずに過ごしているから、オン・オフをきっちり線引きしてる賢い少女だと僕は思う。
「唯、『コレ』はどう使えばいいんだい?」
「ソレ? 音声認識デバイスでもいいし、スマートウォッチの様に画面スワイプでも発動するよ」
「新しく使いたい電書魔術がある時は?」
「僕が似たものを作るからその時は言ってくれれば良いよ」
「了解した。で、僕を所有者認識したということはコレ僕専用端末ということだけれど……?」
「そうさ、一応戀(レン)さんや、咲夢(サクラ)にも同様のものは渡してある」
「ありがとう、僕ら依藤家は色々と問題を抱えている場合があるから、あの人達に『もしも』があると困るから、どうしても気になってね……」
「その辺りの点も考えて、敢えてセナに渡すのを最後にしたのさ」
「……。いつもありがとう、唯」
いつも僕ら依藤家の事ばかり考えて、自分の[瀬崎]の名を大切にしない唯。偽造戸籍で生きてるとはいえ、れっきとした苗字なんだから、もう少し大切にしてもいいと思うんだ、僕の晶(アキラ)が名乗る苗字でも有るんだし……。と嫉妬心が出てしまう。
いけない考えとはいえ、止められないこの悲しさというのはどうしても、どうしようもならない。
「構わないさ、セナ。ちょっとテスト代わりに使って見てくれないか?」
「あぁ、構わない。何を言えばいい?」
「『テスト』と言ってくれればテスト用の電書魔術が発動するはず」
「『テスト』……おあ!?」
目の前数十センチ先から視界がサーモグラフィーの様に変化した。
「サーモグラフィー状に視界が変化したなら成功だから、『テスト終了』で止まるよ」
「『テスト終了』……ふぅ、とりあえず僕の物として使わせてもらうね。ありがとう、唯」